RSS | ATOM | SEARCH
夜と霧

JUGEMテーマ:映画

 

昭和40年代、まだ京都には映画館がたくさんあった。

古い映画を4本立てで放映しているところもあった。

大学に入ってすぐ、頻繁に映画館に通った。

受験で抑えられていた娯楽に対する渇望が映画鑑賞に向けられた。

 

その頃観た「野獣たちのバラード」という映画が印象に残った。

ナチスドイツの勃興と滅亡 を、アイロニカルに映し出した作品だった。

普通の善良なドイツ人がファシズムに侵されていく様が描かれていた。

私は映画雑誌に載っていた同好会に感想を書いて送った。

すると、私の文章が載った同人誌が送られてきた。

その体験がうれしくて、さらに映画を観るようになった。

 

その流れで、次にナチスの映画を観た。

アウシュビッツ強制収容所で行われたユダヤ人の大量虐殺を描いた、アラン・レネの「夜と霧」だ。

30分程度の記録映画だが、衝撃的な映像の連続だった。

それ以来、「シンドラーのリスト」、「愛を読む人」など、話題になったナチスの映画を観るようになった。

 

毎年、終戦記念日前後には戦争の映画やドキュメンタリーが放送される。

今年もNHKスペシャルで放送されていた映画を録画して、今週見終えた。

その中で、最も衝撃を受けたのが、NHKスペシャルの「アウシュビッツ 死者たちの告白」だ。

 

第二次世界大戦中、アウシュビッツ強制収容所のガス室でユダヤ人の大量虐殺が行われた。

終戦直後、ナチスは証拠隠滅のためにガス室を破壊した。

ところが、壊されたガス室跡の地中からメモが入ったガラス瓶などが見つかった。

メモにはガス室での大量虐殺の様子が克明に記録されていた。

 

長い年月を経てメモの文字はほとんど見えない状態だったが、最近の技術進歩により解読されはじめたのだ。

メモを残していたのは「ゾンダーコマンド」というユダヤ人特殊部隊。

ナチスはガス室での虐殺をユダヤ人たちに強制させていたのだ。

「ゾンダーコマンド」たちは生きるために裏切り者となり、同胞たちをガス室に導いていった。

ナチスの戦況が悪くなり、自分たちもナチスに殺されることを悟り、「ゾンダーコマンド」たちは命を掛けて大量虐殺の事実を書き残し、後世に伝えようとした。

 

メモを解読していると、3人のユダヤ人が特定されてくる。

そのうちのひとりは助かり、戦後も生き延びる。

結婚し、娘が生まれる。

当然のことだが、存命中は自分の過去をひとことも語ろうとはしなかった。

娘はインタビューに答えていたが、戦後は慙愧と懺悔に苦しんだことが想像される。

 

アウシュビッツ強制収容所へのユダヤ人大量移送に関わった、ナチス将校アドルフ・アイヒマンの裁判映像が流される。

アイヒマンは「私はユダヤ人をひとりも殺していない」と証言している。

 

ドラマ化した「東京裁判」を観た。

<船頭多くて、船山に登る>

指導者たちが道を間違えると、国民はとんでもない悲劇を背負わされる。

過去は未来を語っているようで、恐ろしい。

author:金ブン, category:映画鑑賞, 09:32
comments(0), -, - -
Comment