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否定しないこと

JUGEMテーマ:家庭

 

年を重ねると、同じ話を繰り返す。

 

「宇宙にはウィルスが飛んでいて、地球が太陽の周りをまわっていると、ウィルスの塊がいるところに入ってしまう。だから、コロナが蔓延するんや」

ラジオかテレビかで、こんなバカげた話を聞いたのだろう。

食事をしていると、父親はこの話を何度も繰り返す。

また、「幼いとき、スペイン風邪に罹った。その時、母親が鯉の生き血を飲ませてくれた。それで、俺は生き残ったんや」と、何度も繰り返していう。

父は大正14年生まれで95歳。

スペイン風邪のパンデミックは生まれる以前のこと。

昔の記憶にはいろんな経験がごちゃ混ぜになっている。

 

こんな話を聞かされる私は、初めのうちは「そんなはず、ないやろ」と反論していた。

だが、何度も聞かされると反論するのも面倒になって、「そうか、そんなことがあったんか」と話に乗って、うなずくようにしていた。

すると、父は自慢げな表情を見せて、満足していた。

 

それ以来、父が昔のおぼろげな記憶を交錯させて道理に合わない話を繰り返すとき、私は「うん、そうやな」と、うなずきながら話を聞いている。

義母(妻の母)と接する時も、同じだ。

父親同様に、同じ話を繰り返すので、その方法で話を聞くようにしている。

すると、義母は機嫌が良くなり、それが妻に波及し私の評価も上がってくる。

 

そのポイントは「頭から否定しないこと」。

 

生命保険会社が6歳までの子どもがいる男女に、ステイホーム期間中の子育て意識をアンケートした。

その結果、男性は「子育てに積極的になった」とか「子供との絆が深まった」との回答が多かったのだが、妻の方は「子供にイライラすることが多くなった」との回答が一番多かったという。

そして、夫がテレワークをしている専業主婦のうち4人に1人が「今後はしてほしくない」と回答していて、その理由で最も多いのは「夫が家にいることで家庭不和となり子供に悪影響が出る」(36・4%)だったという。

 

ステイホーム期間の我が家はどうだろうか?

妻は「あまり、気にならない」とはいうが、やはり、イラっとすることが増えたに違いない。

私たち夫婦はほとんど言い争いをするようなケンカはしない。

相手の言葉にいら立つと、お互いが黙ってしまう。

 

今回の自粛生活では、お互いにトゲのある言葉が多くなったように感じる。

つまらないことで、イラっとしてしまう。

朝から晩まで1日中家にいると、些細な事で引っ掛かったりするものだ。

私がそう感じているのだから、妻も同様だろう。

 

価値観が良く合っているとか、穏やかな性格が一緒だから等の理由で、相手に選んだ。

だが、生まれも育ちも違う。

同じ屋根の下で暮らしていると、生活感の違いからくる齟齬が徐々に表面化してくる。

 

寛容と忍耐である。

最近、私は悟った。

父親に接するのと同様、「否定しない」ことを心掛けるようになった。

意にそぐわないことを言った時も、「ふん、そうか、そういう考えもあるかな」とか、「そうやな、まあ、気を付けるようにする」とか、オブラートに包みながら言葉を返す。

 

夫婦間のトゲが解消されていく。

そして、波風が立たない、平穏な生活に続く。

 

私の中にストレスが澱のように溜まるが、人生は忍耐だと言い聞かせる。

author:金ブン, category:人生, 10:01
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