RSS | ATOM | SEARCH
イビキをかく

JUGEMテーマ:健康

 

自分自身で満足していることが、いつのまにか他人を不愉快にさせている。

そんなことは人生の中で、頻繁にあると思う。

 

先週、脳外科病院に6日間入院した。

その入院生活での印象に残っていることがある。

イビキである。

 

入院する前の診察で、担当医が家内に尋ねた。

「ご主人はイビキをかかれますか?」

家内は「かきます」と答えた。

「ウソ、僕はイビキかかへんやろ」と横から私が言うと、「時々、かいてるよ」と妻ははっきりと言った。

「ご主人、自分のイビキは判りませんからね」と、妻に味方する。

 

私は4人部屋に入った。

私は眠りが浅いし、人のイビキを気にするほうだ。

だから、他人と同室に寝る旅行などには必ず耳栓を持っていく。

今回も耳栓を持参した。

 

初日の夜、消灯になると早速イビキのデュエットが聞こえてくる。

しかし、耳栓が功を奏して、何とか眠りにつくことが出来た。

翌日、2人が退院して、私ともうひとり48歳の若者(A君と呼んでおく)が残った。

A君は私が入院する4日前、自宅の風呂で倒れ救急車で運ばれてきたという。

脳出血で、右半身に麻痺を起していた。

治療やリハビリに、1ヶ月程度の入院が必要だと告げられたという。

 

その夜、A君は無呼吸症候群のような不規則なイビキを繰り返していた。

だが、この時も耳栓が役に立った。

翌日の夜も同様だった。

A君の病気の原因はこのイビキが影響しているような気にする。

 

その翌日の夕方、A君は別の病室に移動していった。

病室はひとりになり、今夜はやっと静かな眠りにつけるとホッとしていた。

ところが、世の中は甘くない。

夕食後、歩けない老人(Bさんと呼んでおく)がベッドに寝かされた状態で、病室に運ばれてきた。

 

Bさんは他の人の治療機器の音がうるさいと訴えて、移動してきたのだ。

この人、少し認知症が入っているらしく、翌日看護師や事務職員に、何度も「わしは何で部屋を変わったのか。わしが何かしたのかな?」と尋ねていた。

自分が希望して、部屋を替えてもらったことを忘れてしまっているのだ。

訊かれた看護師たちも認知症患者になれているようで、尋ねられるたびに「いえ、Bさんが何かをした訳ではありませんよ。急病の患者が入ったので、部屋を変わってもらったのですよ」と優しく応対していた。

 

消灯すると、このBさんは早速イビキを掻きはじめる。

この世のものとは思えないほど大きなイビキで、しかも不規則なのだ。

この騒音に対して耳栓が全く効果を発揮することなく、私は眠れない夜を過ごした。

その後もこの人と一緒の部屋にいると思うとぞっとするのだが、幸い私は翌日の午後に退院が決まっていた。

 

退院の日の朝、隣のベッドに新しい患者(Cさんと呼ぶ)が入ってきた。

私は今夜CさんがBさんの大きなイビキに悩ませられるだろうなぁと、同情した。

ところが、その同情は余計なことだった。

昼食を終えて、このCさんが昼寝を始めた。

すると、Bさんに負けず劣らずの騒音が聞こえてきたのだ。

Cさんのイビキ音も不規則で、大きな音の後はしばらく静まり、再びゴーゴーと唸り出す。

 

すると、イヤホンでテレビを観ていたらしいBさんはイビキ音を堪りかねて、「うるさい」と言っていたが、当然、眠っているCさんには届かない。

看護師が病室にやってきた時もCさんのイビキは続いていて、Bさんは「うるさいイビキやろ」と看護師に言いながら、「僕はイビキ防止機器を付けているから心配ないけど」と、ぬけぬけと言い放つのだ。

「あんたは知らんやろうが、あんたのイビキもそれ以上にうるさいんやで」と言ってやりたかった。

 

その日の夜から、ふたりのイビキ共演はどうなっただろう。

 

脳外科の患者はほとんどイビキ騒音を発しているのではないか。

誰もが、自分は静かに眠っていると信じているのだ。

一度、自分のイビキを録音してみれば良い。

author:金ブン, category:健康, 09:36
comments(0), trackbacks(0), - -
Comment









Trackback
url: http://kanablog1.kanabun-jun.com/trackback/858273