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混沌とした時代

JUGEMテーマ:日記・一般

 

元旦、神戸市営の地下駐車場に車を駐車させた。

サンチカへの階段を上がろうとしたとき、階段の隅で座っている女性が目に入った。

荷物を詰め込んだ紙ぶくろをふたつ、足元に置いている。

行くあてのない浮浪者のようだった。

俯いているので顔は見えなかったが、肩まで伸びたバサバサの髪から中年の女性のような感じだった。

女性の手に握られている、食パンの切れ端が何とも痛々しかった。

 

サンチカを抜けて生田神社に近づくと、初詣の参拝者が徐々に増えてくる。

元旦から営業している居酒屋やカラオケの店員が、道をふさぐように客引きをしている。

左右の歩道には屋台が煌々と明かりを灯して、参拝者が立ち食いしながら歩いている。

鳥居横のミニカステラの店では、いつもの長い行列が出来ていた。

どこを見ても、平和な光景に満ちていた。

 

鳥居をくぐると、境内には参拝者であふれている。

本殿まで進み、賽銭箱に小銭を投げて、会ったこともない神様にお願いする。

柏手を打ち目を閉じると、女性が持っていた食パンの切れ端が思い出された。

 

参拝を終え駐車場に戻った時には、階段に女性の姿はなかった。

 

元旦の未明から放送していた「朝まで生テレビ」で、論客たちの議論を聞いていた。

少子高齢化、沖縄の基地問題、近隣諸国からの防衛、原発、格差問題、…。

昭和が残した様々な問題は、平成の時代でどれだけ解決されたのだろうか。

論客たちが意見を言い合う。

期待を抱いていた平成では、ほどんど解決されず、停滞が続いている。

 

平成の次にやってくる時代はそれらをどこまで解決できるのだろうか。

番組の議論は堂々巡りになり、年老いた司会者は過去の体験談をさも自慢そうに話し、議論をまとめることができない。

自分の意見だけを言い合う井戸端会議のような番組だった。

番組アンケートの「新しい時代の日本は良くなると思うか?」の質問に、思わないと答えた人が66%だった。

 

今週、「徳川がつくった先進国日本」(磯田道史)を読んだ。

徳川家康がつくった江戸幕府は明治維新まで260年間続いた。

そんな長い期間、平和な社会が続いたことは世界の歴史でもまれなことだという。

 

いかに平和を維持することが出来たのかを、著者は時代のターニングポイントに焦点を当てて、掘り下げていく。

その間、内乱(島原の乱)あり、大地震(宝永大地震)あり、飢饉(天明の飢饉)あり、はたまた外圧(ロシア)にさらされながら、幕府は危機に立ち向かっていく。

それらの出来事は、今の社会に似ている。

 

島原の乱から「生類憐れみの令」にかけて、社会が戦乱から平和へと転換し、大地震や飢饉で農民社会が破たんしていくと、幕府や藩は民生重視の政策に転換させていく。

「徳川の平和」は、その根底に「生命重視」という価値基準を据えることによって実現したもので、今を生きる私たちにとって、その叡智は大いに学ぶべきものがあると著者は書いている。

 

年頭から悲観的で小難しい話になったが、こんな時はブルーハーツを聴くのが気分転換になる。

 

 

author:金ブン, category:社会ネタ, 09:53
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