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ボランティアに参加
JUGEMテーマ:日記・一般
 

ーわたしたちは絶壁が見えないよう、何か視界を遮るものを前方に立てかけたあと、安心して絶壁のほうへ走っているー

 

先週の話題が原発だったからか、私のブログにしてはたくさんのアクセス数があった。

冒頭のことばはパスカルの「パンセ」だが、朝日新聞の「折々のことば」に紹介されていたものの引用だ。

ブログの最後にこの言葉を載せるつもりだったが、失念していた。

この言葉を読んだ時、すぐに原子力発電のことを思い浮かべた。

 

さて、今週は「チャイルド・ケモ・ハウス」のボランティアのお話。

 

抗がん剤治療は苦しい療法だ。

長い期間入院し、治療と受けなければならない。

大人でさえ耐えきれなくなり、弱音を吐く。

子どもなら、なおさら平静を保つのが難しく、家族の支えが必要だ。

小児がんの場合、病室で親が付き添って看病する。

通常の病院では、親が寝泊まりするには病室が狭く、様々な制約と受ける。

 

「チャイルド・ケモ・ハウス」は小児がん治療中のための病院。

部屋にはキッチンが設置され、家族が家にいるのと近い環境で暮らせるように設計された病院だ。

館内には勉強する部屋や遊べるスペースが整えられている。

 

息子の最後を看取っていただいたK医師が発起し、様々な人や企業の協力を得て、神戸のポートアイランドに完成した。

現在開業されているものの、まだ独自で採算に乗せるのは難しく、イベント開催・グッズ販売などの収益や会費・寄付・募金で運営費用を賄っている。

大手の企業からも支援を受けている。

 

8月の最終日、梅田へ出かけた。

グランフロント大阪で、プルデンシャル生命保険の研修会があった。

その会場で募金活動やグッズの販売をさせてもらうことになっていて、私はそのお手伝いをすることになっていた。

生命保険の営業が集合するというので、セールスレディといわれるオバちゃんたちの集まりを想像していた。

しかし、続々と受付にやってくるのは、ピリッとしたスーツに身を包んだ男性営業マンたちだった。

昔は生保の営業といえばオバちゃんだったが、ほとんどが若い男性たちだ。

外資系の会社だからなのか。

 

受付横の机に、チャイケモTシャツを並べて販売する。

子供用は1000円、おとな用は2000円だ。

募金箱も置いてあり、募金していただいた人にはストラップやシールを渡す。

 

 

研修の中でチャイケモを紹介する時間を与えてもらい、チャイケモスタッフのHさんが舞台に上がって活動を紹介した。

休憩時間に入ると、社員たちが会場から出てくる。

Tシャツのサイズを確かめながら、買っていく。

すでに何度もこういった研修に販売ブースを出させてもらっているので、参加者の中にはTシャツを持っている人がかなりいたようだ。

それでも、我が子へのお土産としてTシャツを買ってくれる人がたくさんいた。

 

募金箱にも、お金が集まった。

社員たちは財布から千円札を出して、募金していく。

驚いたのは1万円を募金した人がいたことだ。

同僚たちの前で財布から1万円を出して、募金箱に入れる。

私たちスタッフが深々と頭を下げ、「ありがとうございます」というと、辺りの社員たちから拍手が起こっていた。

チャイケモの活動に賛同してくれてのことだろうが、1万円という金額は破格だ。

相当給料が良い会社なのだろうと、下世話なことを思ってしまう。

 

広報担当らしき人が販売ブースの写真を撮っていく。

企業のCSR(社会貢献)が叫ばれている昨今、社内報等に掲載するのだろう。

私を含めた3人のスタッフも並んで撮影してもらった。

平日の昼間に、Tシャツを着て立っている坊主頭の私は、現役営業マンの目にどんな風体に映っていたのだろう。

会社生活から離れると、そんなどうでも良いことを気にする。

 

チャイケモのボランティアに登録している人は100人以上いるという。

手伝ってもらいたい要件があれば、担当者から登録者全員に一斉メールが送られてくる。

参加が可能な人は手伝い出来る日時を返信する。

 

イベントの翌日もボランティアの要件があったので、応募した。

仕事の内容は植栽への水やり、館内の掃除、テレビ台の組み立てと書いてあった。

私がお手伝い出来ますとのメールを送信すると、お願いしますとのメールが返信されてくる。

 

阪急電車とポートライナーを乗り継いで、市民広場駅で降りる。

5分程歩けば、チャイルド・ケモ・ハウスに着く。

チャイケモTシャツを着たスタッフが数人で迎えてくれた。

 

雨が続いていたので庭に水撒きをする必要が無く、その日はテレビ台の組み立てをして欲しいとのことだった。

ある企業から20台を寄付してもらったという。

すでに、他のボランティアが半分以上完成させていたので、残りを組み立てるのだ。

 

 

私が作業を始めると、K医師が挨拶に現れた。

息子が亡くなってから一度、わが家で夕食に招待したことがあった。

それ以来の再会だった。

近況を話すK医師は少し疲れているように見えた。

 

病室は19室あるのだが、現在利用されているのは1部屋だけだという。

「活動を広く伝えないといけないですね」というと、「テレビやイベント等で紹介されて、かなり知られてきているのですが…」と、K医師は応える。

今後他の病院との連携もあるということで、活動もまだまだこれからのようだ。

運営の詳細は分からないが、静かな病院内の雰囲気から、病院を維持していく苦労が感じ取れた。

 

少子化などの影響で、普通でも小児病院の経営は大変なのだ。

大きな病院が出来ないことを、小規模の病院が実行するのはなおさら難しい。

だから、賛同する人たちの支援や企業の協力が必要になる。

でも、それらにずっと頼ってばかりはいられないだろう。

支援する人たちや企業がいたとしても、ある程度の採算性を保たないと、長続きしないのではないか。

(詳しい事情を知らない私が偉そうなことを言う資格は無いのだが…)

 

その日は部屋にこもって、ひとりで黙々とテレビ台の組み立てをした。

不器用な私は組み立て手順に慣れるまで時間が掛り、2時間半でたった2台しか完成出来なかった。

次回は残りを完成させることが出来そうだ。

スタッフの人に再度訪問することを伝え、チャイケモを後にした。

 

人は心のどこかで、「自分が必要とされている」という感情を持ちたいものだ。

それなくして、生きていけない。

会社にいる時、窓際に座っていても、必要とされている自分があった。

退職すると、家族は別として、自分の存在を示す場面が少なくなった。

だから、何か役に立てる場所を求めるのだろう。

author:金ブン, category:人生, 10:33
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