RSS | ATOM | SEARCH
パラサイト(半地下の家族)

JUGEMテーマ:映画

 

最近、映画を観る前に必ず、トイレに行く。

とにかく、小便が近い。

上映前に小便をしても、2時間を超える映画だと、クライマックスの良い場面で膀胱が満タンになってくる。

この映画も半分過ぎたあたりで、便意をもよおしてきた。

困ったことだ。

これはヤバいと思いながらも、次々とやってくる緊迫の場面に、トイレを我慢しつづけた。

それほど、映画の進行に引き込まれた。

何とか、キンキンの膀胱を抱えて、エンドロールが始まるとすぐに退出してトイレに駆け込んだ。

 

テーマが分かりやすい映画だ。

富める者と貧しい者がはっきりと分かれる韓国の超格差社会。

韓国では上位1割が国の富の半分以上を保有し、人口の下位半数の保有分はわずか数パーセントにすぎない。

この格差は年ごとに広がっているという。

貧しい者は仕事にも就けず、半地下での生活が続く。

半地下では酔っ払いの糞尿に悩まされ、大雨では自宅が水に浸かってしまう。

富める者は子供の家庭教師、家政婦、運転手付きで、広々とした豪邸で優雅に暮らす。

 

物語は、「半地下」に住む貧しい家族が巧みに金持ちの高級住宅に入り込んで、やりたい放題を繰り返す。

ところが、あることからとんでもない状態に追い込まれていく。

クスッと笑えるコメディタッチで、終盤は園子温の「冷たい熱帯魚」のような、ハチャメチャな方向へと話は進む。

 

カンヌ映画祭でパルムドールを受賞し、外国語映画として史上初めてアカデミー賞の作品賞に輝いた作品だったので、

混んでいることを想像して、月曜日の朝一に映画館へ出向いた。

さすがに、平日の映画館はガラガラだった。

 

格差社会を隣の国の問題だと楽観している場合ではない。

日本も着実に貧富の格差が広がっている。

日本の子どもの6人にひとりが貧困のもとで暮らしており、家族の収入ではご飯も食べられない状況だという。

 

駅前の繁華街やショッピングセンターを歩いていると、物があふれて華やかな暮らしぶりが見て取れるのだが、貧困の根っこは奥底にあって、気付かないうちに地表を覆っていくのだろう。

author:金ブン, category:映画鑑賞, 09:37
comments(0), -, - -
寅さんの映画

JUGEMテーマ:映画

 

母親はテレビドラマをほとんど観なかったが、「男はつらいよ」は毎回観ていた。

50年前、私が高校生の時に、このドラマはテレビで放送された。

母親は渥美清が好きで、放送を楽しみにしていた。

唯一、家族が一緒に観ていたドラマだった。

私たちが暮らしていたのが下町のパン屋で、ドラマの舞台が同じ下町風情だったに共感を覚えた。

 

放送は寅さんがハブに噛まれて死んでしまい、あっけなく最終回になった。

その後すぐに映画化され、毎年盆と正月になると上映された。

松竹にとってはドル箱のシリーズだった。

 

私はレンタルビデオやテレビ放映でほとんど観ているが、社会人になってから1度だけ映画館に足を運んだことがあった。

会社の先輩から会社の帰りに誘われたのだ。

先輩は愛媛県の大洲の出身で、映画の番宣で寅さんが大洲を旅するシーンが登場していたからだった。

観終わった後、先輩は故郷のシーンにいたく郷愁を感じられていた。

日本人の誰もが懐かしく思い出される、田舎の自然や祭りの風景が映し出される。

私も、団子屋で繰り広げられるアットホームなシーンを観ると、幼いころに過ごしたパン屋での風景を思い出す。

 

私は葛飾柴又を一度だけ訪れたことがある。

30歳ごろのことだ。

私が訪ねたころ、「男はつらいよ」は盆と正月に封切りされる人気映画だった。

 

勤めていた旅行会社が30周年になるとき、記念誌を製作した。

私は旅行の印刷物を制作するのを担当していたので、その記念誌の制作にも携わっていた。

記念誌に掲載する営業所の写真を撮影するため、銀座の営業所へ出かけた。

東京のカメラマンを手配していて、私が東京へ出張して撮影に立ち会った。

朝一の飛行機で出かけて、撮影は午前中に終了した。

楽な出張だったのを覚えている。

帰りの飛行機は最終便だったので、かなり時間が余った。

どこか東京見物でもして帰ろうと考えて、葛飾柴又を思いついた。

 

柴又駅で降りて帝釈天参道を歩くと、映画「男はつらいよ」に登場する場面が出てくる。

渥美清とさくらが別れる柴又駅のホーム、笠智衆演じる御前さまが登場する帝釈天の山門、叔父ちゃんと叔母ちゃんの団子屋の下町情緒は懐かしい故郷に帰ってきたような気分が味わえた。

 

年末、封切られた「男はつらいよ 寅さんおかえり」を観た。

小説家になった満男が葛飾柴又で過ごした昔を懐かしく振り返る場面で構成されている。

時折挟まれている過去の映像が懐かしい。

太地喜和子、京マチ子、新珠三千代、大原麗子…、次々とマドンナを演じた女優の映像が流れる。

「ああ、この人も亡くなったな」と思いながら観ていると、時の流れを感じずにはいられない。

 

追記:映画を観る前トイレに行ったのに、映画の上映中に2回も小便で中座した。歳を取って、とにかく小便が近くなった。

author:金ブン, category:映画鑑賞, 09:16
comments(0), -, - -
「ボヘ・ラプ」を観る

JUGEMテーマ:映画

 

先週、ボランティアの会の新年会が終わってから、メンバーの人たちとカラオケスナックへ出かけた。

89歳の男性は戦前の歌を懐かしがりながら歌い、84歳の女性は天童よしみやの演歌を歌い、私は松山千春や槙原敬之を歌った。

そんな中、一番若い60歳の女性は「ボヘミアン・ラプソディ」、「WE WILL ROCK YOU」と<クィーン>の曲を連続して歌っていた。

その女性曰く、「若いころ、私、めちゃクィーンにはまってたの。」

 

私は<クィーン>というロックバンドの名前は知っているが、曲をほとんど聴いたことがなかった。

最近、映画「ボヘミアン・ラプソディ」が大ヒットしていると聞いた。

ビートルズ以外、ブリティッシュロックを知らない私が「クィーン」というロックバンドの伝記映画を観て感動できるのか。

宝塚シネピピアに出かけたのだが…。

 

上映10分前に映画館のロビーに着いて、驚いた。

いつも閑散としているのに、年配の女性たちであふれている。

まさか、と思ったが、そのまさかだった。

 

受付の女性曰く、「1時間前にチケットは売り切れました。次の上映は…」と、夜の上映時間を告げる。

平日月曜日の昼なのに、満席とは…。

そんなに、素晴らしい映画なのか。

これは絶対観ないといけない、と期待が高まってくる。

 

スマホで伊丹イオンのTOHOシネマズにアクセスすると、ほとんど空席だった。

予約を入れて、急いで映画館に向かった。

TOHOシネマズでは観客は少なかった。

シネピピアの混雑は何だったんだろう。

 

1985年のライブエイドを私はテレビで観ている。

クィーンが演奏していた記憶は全くないのだが。

あの頃、「We are the world」がテレビで放送され、その映像を見て興奮したものだ。

マイケル・ジャクソン、ボブ・ディラン、スティーヴィー・ワンダー、ポール・サイモン、ビリー・ジョエルなど、名立たるシンガーたちが歌うシーンは圧巻だった。

この後、アメリカとイギリスの会場でライブエイドが開催され、テレビ放送された。

このコンサートにも、大物のシンガーが次々と登場している。

ボブ・ディラン、クロスビー・スティルス・ナッシュ&ヤング、ポール・マッカートニーが演奏していたのを覚えている。

だが、ディランの演奏がかなりお粗末なものだったので、失望した印象しかない。

 

「ボヘミアン・ラプソディ」はクィーンという伝説のバンドが結成からスーパースターに上りつめるまでの物語だ。

ラストはライブエイドでの演奏シーンで、「魂に響くラスト21分」とコマーシャルされている。

だが、実際の演奏シーンを忠実に再現したものだ。

 

私はライブエイドの会場のことを思い出していた。

30年以上前、会場の風景をテレビで観て、大きな会場にギュウギュウ詰めされた観客に驚いた。

トイレに行きたくなったら、どうするのだろうと、いらん心配をしたものだ。

それは余計な話だが、演奏の再現ドラマにそれほど心が震えなかった。

むしろ、「クィーン」というバンドが遭遇する内紛や葛藤が人間臭くて、面白かった。

 

ボーカルのフレディ・マーキュリーがトップスターに上り詰め、酒と恋におぼれて孤立していくシーンは切ない。

成功しても、人生は思い通りにいかないものだ。

新聞で読んだ「人生は長患いのようだ」という言葉を思い出した。

 

伝記映画としては史上最高の興行収入を上げており、その熱はまだ冷めないようだ。

今週、日本での興行収入が100億円を超えたという。

 

YOUTUBEにはライブエイドでの実際の演奏がアップされている。

映画を観た後で見ると、新たな感動がある。

author:金ブン, category:映画鑑賞, 10:01
comments(0), trackbacks(0), - -
話題の映画

JUGEMテーマ:映画

 

駅前の駐輪場に、自転車を預けた。

梅田まで通勤電車に乗るのは、3年ぶりになる。

通勤特急は満員だった。

退職前まで、この時間帯の電車に乗り続けた。

吊革を持って、座席の前に立った。

ネクタイ姿のサラリーマンがスマホを触っている。

前に座っている年配の男性が熱心に文庫本を読んでいた。

私もこの男性のように、いつも本を読んでいた。

何でもない車内の風景が懐かしかった。

 

乗客のほとんどは勤務する会社に向かっている。

月曜日の朝、私は映画館に向かっていた。

何だか、申し訳ない気持ちにもなる。

 

朝の報道番組で、今ヒットしている映画のことが紹介されていた。

先週からその映画のことが、ワイドショーでたびたび取り上げられていた。

「面白かった」

「ぜひ、観てほしい」

「何度も笑えた」

映画を観終わった人たちがそろって高評価を口にする。

ゾンビの映画だという。

なんで、ゾンビの映画で笑えるのか。

YOUTUBEの予告編がかなり陳腐な感じだった。

なんせ、300万円の費用で製作したという。

東京の小さな映画館で上映されてから評判になり、口コミで話題が広がった。

そして、TOHOシネマズでも上映が始まった。

だが、兵庫県では上映されていない。

 

月曜日の朝一、8時40分からの上映を観ることにした。

こんな時間に映画を鑑賞できる幸せを感じずにはいられない。

 

備え付けの機械から予約していたチケットを出して会場に入ると、観客は私ひとりだった。

入場するのが早すぎたのだ。

チケットを確認するスタッフが来る前に、入場してしまった。

しばらく予約の座席に座っていると、入口付近から「それでは入場ください」というスタッフらしい声が小さく聞こえてきた。

すると、ぞろぞろと観客が入ってきた。

観客は50人ほどだった。

私のようなお爺さんも数人いた。

やたらと長い広告や予告編の後、映画が始まった。

 

映画が30分ほど進むと、前半が終わる。

荒っぽいカメラワーク、響いて聞こえにくい音声、素人俳優のぎこちない演技…。

「ハズレじゃなかい」

その時の感想だ。

 

宣伝ポスターのサブタイトルが「最後まで席を立つな。この映画は二度はじまる。」

この映画は後半が本領発揮のようだ。

緻密な謎解きが始まる。

 

これ以上は読者のために書けない。

一度観たら、としか言えない。

どんな映画でもいろんな評価はある。

私は何度も笑った。

 

私は「運命じゃない人」「鍵泥棒のメゾット」の内田けんじ監督の作品が好きだ。

そうだったのかと、後で頷かせる謎解きが面白いからだ。

この映画も、見終わった後で「そうだったのか」と納得するのだった。

 

(追記)

8月15日のアクセス数が1200を超えていた。

通常、日に50ぐらいしか閲覧されていないのに。

原因は8月11日(土)にアップしたブログのようだ。

タイトルが「ディズニー・オン・アイス」だった。

閲覧者は楽しいショーの話を読むためにアクセスしたのだろう。

なんか、申し訳ない気分になる。

ジジィの愚痴めいた独り言を読んで、失望したに違いない。

 

今回、映画の題名を意識して載せなかった。

タイトルに題名を使うと、アクセス数が急激に増えるだろう。

話題の文字を検索して、世間の人は過敏に反応する。

 

私のブログは映画評というより、極めて個人的な独り言だから。

 

author:金ブン, category:映画鑑賞, 10:12
comments(0), trackbacks(0), - -
ミニシアターの魅力

JUGEMテーマ:映画

 

平日の昼、映画館は空いている。

ましてや、月曜日の昼なんて、ガラガラなのだ。

こんな時間に映画を観られるのは退職後の特典といえよう。

 

退職した当初、平日の昼映画館に出かけるのに、若干の後ろめたさを感じていた。

みんなが一生懸命働いている時間に、こんな贅沢をして良いものか。

しばらく、そんな後ろめたさを引きずっていた。

 

ところが退職して時間が経つごとに、そんな気持ちはどこかへ消えてしまった。

今お付き合いしている人たちはすべて退職した人だし、みんな平日しか行動しない。

カラオケも平日の昼だし、参加する宴会はどれも平日の昼なのだ。

 

宝塚にあるシネピピアは、現役の時からお気に入りの映画館だ。

JR売布駅前ビルの5階にあり、ミニシアターがふたつある小さな映画館だ。

 

メジャーなシネコンで公開を終えた映画を上映したり、メジャーなシネコンでは扱わない興業的に儲かりそうにない映画を提供したりしている。

上映する映画は時折マニアックなものがあり、主催者の好みが反映されているようだ。

 

余談だが、1階にある喫茶店の名前が「バクダット・カフェ」

以前日本で上映されて、ヒットした映画の題名だ。

ミニシアターブームの火付け役になった作品だといわれている。

 

観客はいつも少ない。

ただ、一度だけ連日満席だったことがあった。

「阪急電車」を上映した時だ。

阪急の今津線が舞台で、映画館から近かったからだ。

地元の観客が多かったに違いない。

 

先日、友人から「グレイテスト・ショーマン」を薦められた。

夫婦で観て、感動したという。

久しぶりに映画館に行こうと思った。

 

先週は文化財ガイドやアルバイトなどで忙しかったので、時間が無かった。

今週観に行こうと調べると、近隣のシネコンでは遅い時間の上映しかなかった。

そこで売布のシネピピアを検索すると、ちょうど昼ごろの上映があった。

 

観客は少ないと思ったが、30人ほどいた。

ほとんどが年配の女性だった。

私は前よりのど真ん中の席に座った。

 

映画は想像していた以上に、素晴らしかった。

何度か、涙が込み上げてきた。

とにかく、私は涙腺が緩いのだ。

 

さて、終わって、エンディングロールが流れた。

とにかく、長いエンディングロールだった。

映画の挿入歌が聞こえる中、スタッフの名前が延々と流れた。

だが、誰も席を立たなかった。

もしも、妻と一緒だったら、私たちは席を立っていただろう。

 

エンディングロールが終わって場内が真っ暗になると、突然監督と出演者が会話している映像が出てくる。

会話の次に、メイキングビデオが流れた。

キアラ・セトル(映画では髭を生やしている)が歌う「This Is Me」の練習風景だ。

練習中セトルは感情がいっぱいになり、唄いながら涙ぐむ。

 

私は気持ちを落ち着けてから映画館を出ようと思っていたが、再びもらい泣きしてしまった。

 

薦めてくれた友人が観た映画館では、そんなビデオは上映されなかったという。

 

シネピピアの粋な計らいだったのだろう。

ミニシアターならではのプレゼントだった。

 

そのメイキングビデオはYOUTUBEにも出ていた。

(ただし、映画を観ていない人にはその感動は伝わらないと思う)

 

https://www.youtube.com/watch?v=XfOYqVnFVrs

 

5月のスケジュール表を持って帰った。

「ペンタゴン・ペーパーズ」、「ウィンストン・チャーチル」、「スリー・ビルボード」、「シェイプ・オブ・ウォーター」など、昨年のアカデミー各賞に輝いた作品が並んでいた。

ミニシアターを応援するのためにも、また観に行くつもりだ。

author:金ブン, category:映画鑑賞, 09:25
comments(0), trackbacks(0), - -
熟年夫婦

JUGEMテーマ:映画

 

桂枝雀曰く、「夫婦はいちばん身近な他人」。

 

宮本陽平は教師として真面目に働き、25年間夫婦生活を送ってきた。

ひとり息子が結婚して家を出て、夫婦ふたりだけの生活になった。

ある日、陽平は本棚から「暗夜行路」を取り出した時、ページに挟まっていた離婚届を見つける。

それには妻の署名がされている。

全く問題ないと思っていた夫婦生活に突然暗雲が立ち込め、陽平は動揺する。

だが、妻に離婚届の理由を問いただす勇気がない。

趣味の料理教室仲間や生徒たちの家庭問題に触れるうちに、夫としての自分の振る舞いに疑問を抱いてくる。

あれこれと悩んでいると、妻が突然家から出て行ってしまう。

 

映画「恋妻家宮本」は<父母>から<夫婦>に戻った熟年夫婦の戸惑いを描いた物語。

子供が独立すると、当然夫婦だけの生活がやってくる。

世間では、<熟年離婚>や<卒婚>などの言葉が躍る。

子育てや勤労義務の終了は人生の大きな転機である。

 

先週から今週に掛けて私は6日間、家を空けた。

孫の運動会があり、宮崎の娘の家にいた。

子育てで忙しい娘夫婦の姿を眺めていると、その頃の夫婦の生活を思い出したりする。

当時はお互いが忙しかったので、相手の立場を考える余裕もなかった。

 

退職以来、私たち夫婦は毎日顔を突き合わせる時間が増えた。

時間があるからといって、妻の気持ちを慮って行動を取っているかというといささか疑問だ。

自戒と込めて言うが、私のマイペースな暮らしぶりに、妻の方は辟易しているかもしれない。

6日間という短い期間ではあるが、妻と離れて過ごしてみると、いちばん身近な他人について考えてしまうのだ。

 

この映画では主人公が再び妻に恋するハッピーな結末なっている。

人生いろいろ、夫婦もいろいろ。

私の場合、本棚に離婚届が挟まれてないことを祈るばかりである。

 

「この映画、面白いよ」と薦めてくれたのはボランティアの仲間で、80歳になるSさん。

Sさんは30歳代で夫を亡くされた。

その後再婚することなく、生まれたばかりの長男を女の手ひとつで育てられた。

息子さんは結婚しSさんに孫が出来たのだが、5年前その息子さんは病気で急逝された。

今はひとり、マンション住まいされている。

 

若年で寡婦になられたSさんはどんな気持ちで、熟年夫婦のハッピーエンドを鑑賞したのだろう。

少し、気になった。

 

 

author:金ブン, category:映画鑑賞, 07:46
comments(0), trackbacks(0), - -
他者

JUGEMテーマ:映画

 

「人生は他者だ」

 

映画「永い言い訳」のラストシーンで、本木雅弘演じる主人公津村啓がノートに書き込む。

 

売れっ子作家津村が浮気をしている時、旅行へ出かけた妻がバス事故で死亡する。

子供のいない夫婦関係はもうとっくに冷めていたが、マスコミを通じて嫁さんを失くした男を演じ、ドキュメンタリー番組に出演したりする。

 

主人公津村の本名(衣笠幸夫)は広島のスーパースター衣笠幸雄にあやかって付けられた名前で、いつもその偉人と比較されていることに劣等感を覚えている。

下積み生活の末、妻の支えも合って富と名声を得た人気作家である。

しかし、この人物はどこか不安定で、内面に弱さを抱えている。

 

その対比として、二人の子供を持つ、竹原ピストルが演じる父親(大宮陽一)が描かれる。

陽一の妻は津村の妻の友人で、津村の妻と一緒に旅行に出かけ、バス事故で亡くなった。

津村と大宮は被害者会で親しくなり、陽一のふたりの子供の面倒を看ることになる。

 

トラック運転手の陽一は決して裕福ではなく、家の中は汚れ、子供の育児に悩んでいるが、一途で純粋な男。

妻の死をまともに受け止め、率直に泣き、哀しむ。

対して、主人公の津村は妻が死んだ時別の女と寝ていたことに罪悪感を覚えながら、突っ張りながら暮している。

その姿に迷いのようなものが透けて見え、どこか壊れそうだ。

やがて、陽一の子供たちと暮すうちに家族の温かさを知り、自分の生活を支配する空虚さを感じ始める。

 

人生は他者との関わりの中で成り立っている。

主人公は、その当たり前のことを見逃していたことに気付く。

 

他者とは何だろう。

 

私はこれまで、数え切れないほどの人たちと知り合った。

だが、ほとんどの人たちは、遠く離れてしまった。

もう二度と会うことが無いでだろう人がほとんどだ。

 

そして、わずかに他者が細く繋がっている。

中学時代、高校時代、大学時代の友人、退職した会社の先輩や同僚たち…。

それぞれ、ある時期に同じ時間を過ごした人たちだ。

 

なぜ、今もその人たちと繋がっているのだろうか。

 

かれらに共通項があるとしたら、それは<迷い>のような気がする。

何かにこだわりながら、かれらは<迷い>を抱えている。

話していて、そんな姿が垣間見える。

迷いながら、もがきながら、進むべき道を模索している。

そこに、独特の人間臭が漂っている。

私はかれらの臭いを好んで嗅いでいる。

 

今の私はそういう人たちの影響を受けて、生かされている。

 

やはり、人生は他者だ。

author:金ブン, category:映画鑑賞, 09:44
comments(0), trackbacks(0), - -
ミーハー趣味で

JUGEMテーマ:映画

 

先日英会話教室でも、映画「君の名は。」が話題になっていた。

異例のヒット作となっている。

私と同年代の生徒さんが夫婦で観に行った。

大ヒットしているというので、どんな映画なのか気になったという。

「君の名は。」の題名に、岸恵子と佐田啓二の映画を想像したそうな。

 

観た感想は、「面白さが解らなかったわ」。

「やっぱり、イマドキの映画やね」とも。

感覚の違いを感じたという。

 

どんな映画か、気に掛かる。

先週私も映画館に出かけた。

人の評価を聞くと、いつも<私ならどう感じるのだろうか>と自分に問う。

大ヒットしている要素は何なんだろうと。

 

本でも同じだ。

どこが優れていて、直木賞や芥川賞を受賞したのか。

どんな感動があって、本屋大賞に選ばれたのか。

良かったと本を推薦されると、友人たちはどこが感動して、私にその本を薦めるのか。

自分はその良さを受け入れられるだろうかと、本を読み始めたりする。

 

評判を聞いて、観たり読んだりするところは根っからのミーハー趣味なのだろう。

何事においても、このミーハー趣味が私の原動力になっている。

 

退職して2年目になる今年、映画鑑賞はめっきり少なくなった。

現職の頃は毎年100本以上、鑑賞していたのだが…。

今年はわずか14本。

 

働いている時は休日の昼間とか早朝に時間を取って観ていたが、退職してからはいつでも観られるという気持ちからか、進んで観ることが少なくなったように思う。

ツタヤに行っても、あまり観たいという気持ちが起こらない。

 

年初からアメリカの人気ドラマ「ブレイキング・バッド」にハマってしまった。

化学の教師がその知識を活かして、覚醒剤の密造に関わっていく物語。

毎回奇想天外なドラマが繰り広げられ、最後まで止められなかった。

 

観た本数は少ないながらも、その中から印象に残った映画を選ぶとすれば、「フレンチアルプスで起きたこと」というスウェーデンの映画。

バカンスで雪山にやってきた家族が、父親のある行動から崩壊の危機に陥る。
こんな出来事は日常でも遭遇するかもしれないと思うと怖い気もするが、人間の行動心理を映し出しているところは興味深く、楽しめた。

 

文化財ボランティアの会に入ったこともあり、伊丹市に関する資料を読む機会が多くなったので、本も40冊程度だった。

今年も西村賢太の本「やまいだれの歌」と「蠕動で渉れ、汚泥の川を」の2冊を読んだ。

のどが渇いた時の水を求めるように、西村賢太の小説は時折無性に読みたくなる。

短編作が多い西村賢太だが、どちらも長編で、如何なく賢太節が味わえた。

 

友人から薦められた「ガラパゴス」は読みごたえがあった。

企業の派遣切りの実態や自動車業界のリコール問題をあぶり出しながら、執拗に犯人を追いつめて行く警部補の姿に引き込まれていく。

来年も相場英雄の本を追いかけてみたい。

 

今年公開された映画「怒り」は豪華キャストの競演で話題になった。

映画館で観ることを友人に勧められたが、先に吉田修一の原作を読みたかった気持ちが強く、映画館に足を運ばなかった。

 

先週、その原作を読み終えた。

久しぶりに、読書で落涙した。

「悪人」や「横道世之介」など、吉田修一が作り出す雰囲気が私に合っていると感じる。

吉田修一は人間描写が丁寧で、繊細だ。

幸せを得るためにもだえ苦しむ人間の姿や心の奥底の闇をあぶり出す文章に、いつも圧倒される。

 

「君の名は。」を観たのはちょうど「怒り」を読み終える頃だった。

 

突然遠くで暮らす男女が入れ替わってしまうという奇想天外な物語。

現在と過去が交錯する不思議な感覚。

アニメーションで彩られた美しい情景描写。

退屈しない映画だった。

だが、観終わった後にジーンと心に残るものが無い。

 

小説「怒り」の重たい人間ドラマに、消されてしまったような…。

 

喜んだり苦しんだりしながら、今年もすべてが終わってしまった。

来年もミーハー趣味で、本や映画、そして人間に関わっていく。

author:金ブン, category:映画鑑賞, 17:15
comments(0), trackbacks(0), - -
役者根性
JUGEMテーマ:映画

劇場版「HK変態仮面」を観た人はきっと思うはずだ。
主演の鈴木亮平はスゴイ、助演の安田顕はスゴイと。
その変態ぶりはハンパじゃない。
この映画が公開されたのは、2年前の2013年4月。
 
原作は20年前に連載された週刊少年ジャンプのギャグ漫画「究極!!変態仮面」だった。
題名に<究極!!>と付いているだけに、内容は少年誌の連載とは思えないほど強烈だ。
物語はドM で刑事の父とドSでSM嬢の母の血を受け継ぐ高校生がパンティを顔にかぶって変態仮面に変身し、悪人を懲らしめるというもの。
 
マンガの連載は1年で終わってしまった。
少年誌で掲載するには内容が強烈すぎて、各方面からご批判があったようだ。
どこでどう間違ったのか、これが20年後に映画化されたのだ。
俳優の小栗旬が脚本協力をしているところが面白い。
小栗は大の漫画好きで、実家の階段踊り場まで漫画本があふれているという。
好きな漫画がこの「究極!!変態仮面」だったとか。
映画化の時は出演を希望していたらしいが、諸事情でそれが叶わず、親友の鈴木亮平に主演をオファーした。

オファーされた鈴木はどうしたか。
「周りがやらせたい事に身を任せたい」と言い、出演を決めた。
この役を引き受ける俳優はなかなか居ないだろう。
 
私はレンタルされてから観たのだが、余りのシュールな演技にフィロソフィーさえ感じてしまった。
とにかく、変態仮面の衣装がスゴイ。
 

 
撮影時に、股間のおいなりさんがポロリと露出したという。
そりゃ、あんな激しい立ちまわりでは当然のポロリとすることもあるだろう。
一切代役は無く、パンティの仮面を被って演じているのは全部鈴木亮平という。
共演者で愛子ちゃん役を演じているのが清水富美加さん。
この子もスゴイ。
Youyubeに、愛子ちゃんがパンティを脱ぐ、貴重な(?)ラストシーンがアップされていた。
 
(動画)
https://www.youtube.com/watch?v=7qOtgY6hhkQ
 
この役柄を演じきるとは、清水冨美加はそうとうなタマである。
(最近、テレビのバラエティに出演して、じゃべくり女を披露している。
「不健康な生活が好き」というのが良い。)
 
鈴木恭平に話を戻すが、変態仮面を演じるのに、体重を15キロ増強し肉体改造したそうだ。
鈴木は与えられた役柄に真摯に向き合うタイプの役者だ。
佐藤健主演の「天皇の料理番」では兄の秋山周太郎を演じ、結核で徐々に弱っていく役だったため、20キロも減量した。
また、現在封切りされている「俺物語!!」では巨漢の剛田猛を演じるために、30キロ体重を増やしたという。
その役者根性はハンパではない。
 
そこで、鈴木亮平主演の映画「俺物語!!」を観に行った。
(ちょうど、約束までの待ち時間と開演時間とがマッチしたので)

しかし、62歳のおじいちゃんがお金を払って、観る映画ではなかった。
競演の坂口健太郎(テレビドラマ「コウノトリ」に出ている)が画面に現れると、となりに座っていた女学生から「かっこいい!」の声が漏れ聞こえてくる。
ガキの映画だ。
ただ、恋人役の永野芽郁ちゃんは可愛かった。
 
とにかく、これからの鈴木亮平に注目している。
もっとぶっ飛んだ映画に出演して、常識離れした役柄に挑戦してほしい。
 
どうでもいい追記:
「HK!!変態仮面」のHKは変態仮面の頭文字だが、映画館でチケットを買う時に役立つという。
劇場版の予告編にこんなテロップが流れる。
 

 
気遣いが粋だ。
author:金ブン, category:映画鑑賞, 11:16
comments(0), trackbacks(0), - -
Still Life

棺桶に入るのは、自分ひとりだけ。

死ぬ時はひとりなんだと、良く解っている。

葬式にこだわりは全くない。

しなくても良いとさえ思っている。

遺骨にしても散骨で良い。

墓もあっても無くても良いし…。

自分が死んでからのことはどうでも良いと思っている。

 

ただ、天国に旅立つ時は誰かがそばにいてほしいものだ。

 

お彼岸に、映画「おみおくりの作法」を観た。

観終わった後、誰かに薦めたくなる。

そんな映画だった。

 

主人公のジョン・メイは地区の民生係をしている。

誰にも看取られずに死んでいった人たちの後始末をする仕事をしている。

仕事をする上で、決めていることがある。

・亡くなった方の写真を見つけ出す。
・故人の宗教を探し出す。
・その人にあった弔辞を書く。
・その葬儀にふさわしいBGMを選ぶ。
・故人の知人を探し,葬儀に招待する。
・葬儀に参列する。 

几帳面な性格のメイはそれらの決めごとを誠実に実行している。

しかし、合理性を求める社会にはなじまない。

上司から「君は仕事に時間をかけすぎる」と言われ、人員整理の対象になり、解雇を言い渡される。

その頃、ジョン・メイの真向いのアパートで、アルコール中毒患者の遺体が見つかる。

近くに住みながら話すことも無かった隣人の孤独死にショックを受ける。

部屋から見つかった古いアルバムを手掛かりに、その人生の軌跡を追いかける。

故人を知る人々を訪ね歩き、ひとり娘に出会う。

参列を拒む娘を説得して、葬儀の段取りを終えるのだが…。

静かに映し出されるラストシーンに、思わず胸が熱くなる。

 

邦題「おみおくりの作法」の原題は「Still Life

直訳すれば、「静物」とか「静物画」となるのだが、ここでは「静かな人生」がふさわしいようだ。

孤独な主人公ジョン・メイの静かな日常、主演エディ・マーサンの静かな演技、そして静かに語りかけるラストシーン…。

邦題も「Still Life」で良かったのではないか。

 

「お墓参りをしたい」

彼岸のシルバーウィークに、姉が娘と孫を連れてやってきた。

岐阜に住んでいる姉はネット販売の会社をしている。

平日は忙しくて家を空けられない。

姉は久しく母親のお墓に参っていないことを気に掛けていた。

 

4年前亡くなった母親の納骨は悲惨だった。

台風が近づいていて、天気が大荒れの日だったのだ。

わざわざそんな日を選んで納骨することも無かったのだが、岐阜から姉が来ることもあって、日を決めていた。

仕方なく、雨風が吹き荒れる中、無理やり母の遺骨を墓の中に納めた。

墓地を管理する担当者に墓を動かしてもらい、中に遺骨を入れたのだが、ほとんど投げ入れるような感じだった。

私も姉も、母親に申し訳ないと思う気持ちが今でも胸に引っかかっている。

 

墓は五月山にある。

大阪を一望できる山の斜面に、霊園が広がっている。

 

霊園

 

その眺望はすばらしい。

遠くにあべのハルカスが見える。

 

広い霊園にたくさんの死者が眠っている。

景色がどんなに素晴らしくても、死者には見えない。

供花を手向けても、その美しさを感じることはない。

お墓は死者のためにあるようで、そうではない。

 

墓を掃除し、供花を供え、線香を立てて手を合わせる。

不思議と、心が和む。

生きている者にとって、死者に対して敬意を持って向き合うこと、その人生を振り返り慈しむことは大切なことだ。
 

映画「Still life」が静かに教えてくれた。

author:金ブン, category:映画鑑賞, 15:50
comments(0), trackbacks(0), - -